シゴト人 メインイメージ まるみず組

シゴト×人 vol.5

まるみず組 井上 夏生さん

十代の頃よりパッセカルトン(ヨーロッパの伝統工芸製本の技法)の世界に魅了され、これを仕事にすることを決意。
1998年、イタリアのマチェラータにて開催された製本コンペティションで全世界125人のマイスターに選出される。
その後、ますみず組を立ち上げ、テキストを利用した伝統工芸製本が学べるカリキュラムを発案。後進の育成をしつつ精力的に創作活動を行っている。
井上さん監修の下、「いちばんわかる手製本レッスン~手でつくる本と基本技法」が出版され、日本における現代の手製本を牽引する作家である。


シゴト人 インタビューイメージ まるみず組

自分の好きなことを仕事にしたい

—現在の仕事を始めたきっかけを教えてください。

中学校の選択授業で手製本の学科があり、そこで初めて手製本に出会いました。
それまでは絵を描くのが好きだったので画家になりたいと思っていたのですが、立体的で自由に作れる手製本が楽しくて、夢中になってのめり込むうちに「画家を仕事にするのはちょっと難しいけど、手製本は仕事にできるかもしれない」と考えるようになったんです。絶対に自分の好きなことを仕事にしたいと思っていたので、その頃からすでに目標を決めていました。
やがて個展を開くようになって、ブライダルアルバムなどを中心とした仕事も手がけるようになり、1998年にイタリアのマチェラータで開かれた製本コンペでマイスターに選んでいただきました。
その後、独立した自分の工房を立ち上げる時に、手製本の素晴らしさを伝えるためのスクールを始めようと思いました。単に作り方を教えるだけでなく、きちんとした形で技法を伝授したかったので、テキストを利用した計画的なカリキュラムを作る必要性を感じました。
テキストとしてまとめる作業はものすごく大変で、それは時間がかかりましたよ(笑)。
8年前から始めたスクールもご好評いただき受講生の方も増えてきたので、6年前に現在の場所に移転しました。今では初心者向け「基礎コース」〜指導者向け「製本コーチングコース」まで幅広いカリキュラムを用意して運営することが可能になりました。

手製本とは自分の考え方が反映されるもの

—井上さんにとって「ものづくり」の魅力とは何ですか?

本というのは、それ自体がひとつの構造物であり、素材はもちろんですが機能的にもこだわらなくてはいけないのです。
例えば、形だけ良くても開きにくかったり、すぐに壊れてしまうようでは本としては愛されるものにはなりません。
本には必ずそれぞれの用途があるので、手に取る人のことを第一に考えて作ることが最も大切なのです。
そういった意味では、手製本というのは自分の考え方がダイレクトに反映されるものだと感じますね。
複雑な技法でつくる構造物だからこそ要求することも膨らむし、そのぶん夢も膨らむというのが大きな魅力でもあります。

シゴト人 仕事イメージ まるみず組

好きだけではなくビジネスベースで

—今後の展望についてお聞かせください。

現在、別のジャンルと融合した新しい作品作りにも取り組んでいます。
もともと本というのは聖書が起源とされ、身分の高い人だけの権力の象徴としてヨーロッパで発展したものです。そのヨーロッパの技法に日本の伝統工芸である和紙を素材としてミックスさせたりしています。
実際に毎年「いちからつくるたび」と題して、まるみず組の製本ツアーを開催しているのですが、そこでは素材となる和紙を作る行程から始めるんですよ。今後もこの取り組みは続けていきたいですし、全く別のジャンルとの融合にもチャレンジしたいです。
人の想いを手製本という形にすることを常に大切に考えながら、ただ好きというだけではなくビジネスベースとしても大きく成長させることが今後の課題であると考えています。

2013年11月


Product & Company Profile

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